木の優れている点(性能や効能)、木造であることのメリット

1993年から学生時代6年間を含め、コンクリートや鉄を学び、その世界にどっぷり浸かり建設現場での監督15年間を経た、2008年の春。一級建築士取得のため本腰入れてたことが、木材を勉強する機会となりました。そのなかで木が、使い方によっては建築材料として当時の認知よりとても優れていることに気づかされました。世の中が、鉄筋コンクリート造や鉄骨造を主構造として確固たる躍進してきたのは、明治時期からの蓄積された構造的裏付けからだと思っていた私の認識が崩れる音がしました。

木材は繊維方向の圧縮に強く、西欧ではトラス、東洋では和組みで荷重を軸力伝達していて理にかなっています。もちろん、引張りやモーメントも同時に受けて木材特有の脆性的な面もあり、素材の含水や反り・座屈による寸法的不安定さから限界があります。ただ、めりこみ強さも含めて良い部分に着眼し、木材自体の軽さをかけ合わせると、非常に優れた素材であると感じた訳です。比重は、コンクリート比6倍、鉄比20倍ほどですが、構造特性を熟知していれば、そこまでボリュームを上げずとも使う事ができ、良点の積み上げで構成できれば最良策だと思いました。

いろいろ考えてみたくなるのも、「やっぱり木が好き」という心底に宿る感覚ではないでしょうか。温かみ・柔らかさ・空気感・肌触り・香りなど、人が感じる快適さの要素は多く、知らず知らずに視覚的にも聴覚的にも心地よく感じているのでしょう。

温泉宿の自然豊かな中のすてきな和室。わたしは癒しを求めるとき想像するのはこういった光景です。

囲柱開発者・つなぐプロジェクト/ライン工業 代表 瀧本 実(たきもと みのる)

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