発案当初から、つくること・組み立てることに意識を置いていました。在来木造の継手では、蟻や鎌といった加工がされ力を伝達できるようになっていますが、木材の加工精度によってあるいは湿度によっては、木材同士がはめ合いにくく木材の頭を力いっぱい叩く事になります。時にはつぶれてしまう木材を見ているのは忍びない気持ちです。
出来る限り鉄骨造の姿にしよう、というのは経験値からの直感でした。構造力学上でもよい範囲内で、施工上でもスムーズなように柱仕口から腕を出すこと・梁の継手部分では叩き込む必要のないこと・スプライスプレートのように簡易に留め付けること・組み立てる手順さえ守れば施工精度がよいことを常に考えていましたので、木造工期は速く出来ています。
また、単工種でかつ乾式で組上げれる事も速さの要素です。鉄骨造では、鉄骨工事後のデッキ工事・コン止め鍛冶工事・鉄筋工事・コンクリート工事・仮設手摺工事と他工種が入ったり、コンクリート(湿式)を使用するので養生期間が必要になったり、コンクリートのこぼれを掃除する必要があったりと、雑工もかかります。工種が多くなれば、現場での連絡調整や職人の手配・日程調整も必要となり、職人の都合で工期も思うようにいかなくなります。
ただ、天候に左右されるとことは否めません。
つなぐプロジェクト/ライン工業 代表 瀧本 実(たきもと みのる)