囲柱建築のこれから

開発実験を順次進めている時には、構造体の進化・前進することだけに情熱を注いでいました。実験をするたび毎に課題が挙がり、その課題解決をすれば数値が上がるという、構造体の成長を目の当たりにしてきました。

試験費用を抑えるために、輸入材(オウシュウアカマツ)を加工していましたが、構造体の木材プレカットの仕様・金物の仕様が決まってきた段階で、ご指導いただいてきた岐阜県立森林文化アカデミー小原教授より岐阜県産ヒノキの採用を提案していただきました。

2016年の事です。林野庁より採択され事業を加速化するきっかけともなった時期ですが、県産材ヒノキから得た実験結果が想定以上に高く驚きと同時に、県産材採用へ方針を移行しました。そこからです。公開実験をしたり、展示会に出展したりを始めていると、周囲からの声援を感じるようになったのです。

ふと後ろを振り返ると、地域貢献・地域創生をする事に繋がっていたんです。これまで構造体の進化だけに捉われてきた私でしたが、これこそ理想の姿だと感じ、会社の存在意義をここに掲げる想いが溢れました。

今では当たり前のように県産証明材を、JAS材を合法伐採材を使っています。これが意味するところの尊さをかみしめながら使っています。最終消費者である皆様にもそうあって欲しい。

未来ある子どもたちのために今われわれができることを説いて、使命感を持って、かしこい消費者となって欲しい。そんな想いです。

一般流通材のなかでもKD材(製材品)を取り扱う事は、険しい山で樹を大きくまっすぐ必死に育ててきた林業家への恩返しでもあり、山を健全に育てることでもあり、川をくだって海にまで好循環は繋がります。そんな輪が広がることを心より望みます。

つなぐプロジェクト/ライン工業 代表 瀧本 実(たきもと みのる)

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