実証から実現、囲柱ラーメン木構造が切り拓く持続可能な建築の未来
2024年11月、東京・大阪の展示会へ「囲柱ラーメン木構造」実大モデルを持ち込んで出展してきました。
思へば、2016年より展示会に出展するようになりました。名古屋から始まり、東京へ、大阪へと順に足を延ばしています。当初は、「木への関心」はまだまだ低く、賛否の否の方が断然多かったことを今でも思い出します。実物件として実現できていなかったことも関係したのかもしれません。実験・実験を繰り返し、アカデミックに走っていた印象にも捉えられたことでしょう。
2019年に第1棟目がついに完成し、お披露目し、展示会でも来場者の声色が変わりました。「実際に見に行きたい」との声多く。本当にうれしく、数々の犠牲のもとに自分がやってきたことに間違いが無かったと感じた瞬間でした。
2021年に4棟目の医療建築の中のリハビリテーション室が完成し、更に関心度が高くなった事を記憶しています。実物件での使用者方々の声を聞き、木造化・木質化による人の心への影響が、企業運営に波及する様を伝えることができるようになりました。
自然と共生する木造建築、大規模化と伝統の調和を目指して
近年、大断面集成材やCLTの活用により、木造建築の試みは大きく高さを競うようになってきています。海外規模に向かい進み続ける木造技術躍進に、ワクワクは止まりません。
ただ、そこと一線隔てて、木材本来の自然体での使われ方も追究していく必要があると考えています。なぜか。山を育て、山を健全にし、生態系の根本から見直すこと、かつ、大きく長くまっすぐに育てあげられた樹を、そのまま活かして、価値ある姿で使ってあげること、それが出来るからです。
2024年の展示会では、そんな思いを胸に、来場者と対話をさせていただき、賛同くださる方も徐々に増えつつある感覚です。
「理想」にはまだまだ遠い道のりとも感じますが、その理想を捨てず、理想に向かって一歩ずつ解決・実現していく努力をし続けることが、未来ある子どもたちに残してやれる地球となる。最大で最重要なプレゼント。我々の使命だと信じています。
つなぐプロジェクト/ライン工業 代表 瀧本 実(たきもと みのる)