囲柱ラーメン木構造技術に関するFAQ

アピールポイントは何でしょうか?
  • 木質ラーメンを大断面集成材に頼らず、一般流通規格材の組合せで可能としました。よって、比較的安価に提供可能です。
  • 4本のヒノキ製材を組柱とし隙間を保ち、その隙間に梁を貫通挟み込むことで強靭さを生む、ラーメン構造体です。
  • SD15 以下、E110 以上の条件を満たす木材であれば協議の上、材種を変えられます。
  • 構造・構成の特許を有するものの、オープンに広く使ってもらうことが狙いで、標準化をめざします。
  • かつて日本経済は第一次産業に支えられていたことに立ち返り、木材需要拡大こそが国内に「好循環」をもたらすと信じて進めるプロジェクトです。
  • 製材そのものを構造材として利用することで、環境型事業といえます。また。JAS 材、合法材を利用していますので多面的に安心です。
  • 条件が整えば、2方向ラーメンとしても利用可能です。
他の施設への普及が見込まれる木質構造でしょうか?

モデル棟として事務所を建てました。壁が不要で空間を広く使えるため、コンビニ・テナント・事務所をはじめ、学校・保育園・福祉施設・庁舎・コミュニティ施設などに利用できます。更に、壁が無い分、用途変更にも柔軟に対応できる構造体とも言えます。

他の施設への普及が見込まれる木質デザインでしょうか?

『囲柱ラーメン木構造』自体がデザインと捉えて設計しました。大きな塊の柱ではなく、細径角材の集合であることから、柱の中ほどを視線が通過し、ボリューム感無く、強靭な柱を構成出来ています。細いのにしなやかに強いアンバランスさが親しみやすい柱に感じます。

その他のアピール事項はありますか?

柱頭や柱脚の「強い」接合手法により、2方向ラーメンとして使えることが優位性ありと言えます。鉄骨造のように梁端部を腕だし(ブラケット)し、現地での作業を省力化した構法で「速い」を実演しました。鉄骨と木材の比重差は20 倍あり「軽い」となります。

以上の3要素は、「安い」へ繋げていきます。鉄骨造並みの建築費で納まる木造ラーメンは、利用価値が公共から民間へも拡がります。『囲柱ラーメン木構造』は、以上4要素を具備しています。

地域の木材資源の有効活用・高付加価値化に寄与するような取組はありますか?

『囲柱ラーメン木構造』を採用することで、耐力壁が不要となり、ガラス貼りのファサードが実現しました。
 従来の木造では不可能でしたが、汎用木材でも鉄骨造のような建築物が可能という高付加価値を生みました。

開発の狙い、想定している利用者は?

一般流通スケールのヒノキ汎用製材4本を専用金物で締結し、組柱とした強靭な「囲柱」と剛梁で、耐力壁に頼らない木質ラーメンを形成します。

連続した大開口・大空間が、「人の営みを豊かにする木造」で可能となり、コンビニ・テナント・事務所をはじめ、学校・保育園・福祉施設・庁舎・コミュニティ施設などに利用できます。

研究・開発期間は?

平成20年に着想、平成23年・25年にプレ試験をし、平成27年より研究開発を本格始動しています。平成28年には、林野庁の補助事業で採択され開発は加速しました。現在も尚、「より使いやすく」を念頭に、ニーズに応える形で模索しています。

国内での直近3年間の実績は?

特許出願3件。登録2件。建築採用事例7件。

1棟目は、モデル棟。2018年9月2方向ラーメン「囲柱」建て方。

2棟目は、岐阜県高山市にて民間宿泊施設。2019年9月門型ラーメン「囲柱」建て方。

3棟目は、岐阜県中津川市に研修所。

4棟目は、岐阜県羽島市に整形外科リハビリテーション室。

5棟目は、三重県桑名市に店舗。

6棟目は、愛知県小牧市に公園内に見はらし台になる作業所。

7棟目は、埼玉県和光市に建設中。複合商業施設。

建築確認申請は「個別認定」でクリア。日本建築学会での論文発表。2017年広島大学。2018年東北大学。

構造体については誰でも見学、使用は可能ですか?

開発実験・実験結果・構造体の手法・特許情報など、大いにオープンにしています。展示会・講演・学会発表での公開をはじめ、ホームページ・各種SNS などでも閲覧できるようにしています。

新聞各紙取り上げてもらっており、中部経済・岐阜・日刊木材・木材工業・日本経済・日経アーキテクチュア・林経・ウッドミック・建通・鉄鋼・中日・東濃新報・読売と連鎖で紹介いただきました。多治見商工会・可児商工会会報でも記事に。

この構法は、どこで見ることができますか?

岐阜県可児市ライン工業内に竣工した「モデル棟」は、いつでもご覧いただけます。貸しスペースとしての機能もあり、名古屋・東京での展示会でも紹介しております。また、ホームページ等でも情報公開しております。概要ですが、下記のHP からご覧いただけます。
https://ichu-project.com/what-ichu/
https://ichu-project.com/thought/

現場での施工時に、見学会を開催することもあります。

構法を採用してみて、木材の良さが伝わる施設となりましたか?

木材の良さは、大多数の人は感じて知っています。これまで、鉄骨造やコンクリート造で建てられてきた建築物が、木造で可能となり、その完成した「非日常的木質空間」を体感したときには、「やっぱり木っていいよね。」と声が聞けました。

リハビリテーション室に施術に来られる患者さんからも「気持ちが良くて長居しちゃう。」と話されているそうです。

施設の用途や施設利用者の利便性を踏まえた木材の利用はありますか?

モデル棟は、事務所として機能をスタートします。事務所執務スペースに木材を多用することで、木材特有の性状(香り・触感・癒し・快適感・ぬくもり・リラックス・血圧低下・調湿性・断熱性・適度に音を吸収・マイナスイオン)を利用者に感じ取ってもらい、最終的には、集中力を高め、高効率化・生産性向上をはかる狙いです。

施設の用途を踏まえた工夫・デザインの採用はありますか?

120mm の隙間を保って4 本の柱材が配置される『囲柱ラーメン木構造』であるため、電気配線用に工夫された柱脚・柱頭部分の貫通孔も利用して、柱内にスイッチ・コンセント・照明などを設置しています。小梁の下端に照明用レールを取付け、照明器具の位置変更・増設などフレキシブルに対応できるものとしています。そのレールまでの配線は、天井裏で行い、テックワンの金物の隙間から下ろしてきていますので、配線が目に触れません。広い空間を環境良く保つための空調設備は、カフェスタイルのカセット露出型とし、冷媒・排水ドレンともに天井裏と壁内を通してすっきりとしています。

地域等から安定して木材の供給を受けるための体制の整備や工夫はありますか?

岐阜県木材協同組合連合会、岐阜県森林技術開発・普及コンソーシアム等を交えた情報交換により施工者と相談しながら進めました。大断面集成材を使わず、一般流通材サイズの木材を組み合わせて使いました。柱は角材120mm を4本組んだ組柱とし、梁は梁せいを450mm までに留めています。

技術提供はどのようにされますか?

建築現場における「鉄骨ファブ」と同様に、「囲柱ファブリケーター」としてポジショニングし、建築物の構造体を提供します。「構造設計チーム」が意匠設計と連携し、建築確認申請のお手伝いもさせていただきます。

利用する場合は有償ですか、無償ですか?

無償です。特に、会員制・代理店制をとりません。「必要な場面」で「意味ある形」で皆様に「広く自然体」で使われることを望みます。現時点の建築基準法に合致した木質ラーメンの標準化に向け、 「囲柱ファブリケーター」としてのポジションから世に送り出します。決して自前主義にならず、川上・川中・川下の連携で創りあげていくビジネスモデルを構築し、川上の取組み、存在意義を充分に理解できる地域創生に努力しています。

他事業者との連携において工夫していることは?

平成23年より実施してきた開発試験において、要所で試験を公開し、見学者は年々増加していきました。平成28年度「2方向ラーメン実大斜め加力試験」では、100名ほどが見学に来場され、林野庁の補助事業の一環で実施したものであり、委員会も開催しました。出席いただいた森林総合研究所、建築研究所、ポラス暮らし科学研究所、前田建設工業などよりアドバイスを頂戴しました。

木材は岐阜県内よりJAS 材で調達し、プレカットも岐阜県企業で行い、2方向ラーメンにおける水平構面には初の岐阜県産CLT を使用してきました。

今後は全国視野の地産地消を目指します。建築総合展・JHBS・モクコレに出展し、講演の機会をもらったり、各種木質系組合・協会に所属していますので、そこで情報を共有しています。

国内での今後の計画はありますか?

全国的な実施の拡大を検討しています。研究開発を進める上で、木材の調達・プレカット・試験場など、開発拠点である岐阜県を中心に行ってきました。全国展開を目指し2年前より全国のプレカット工場で対応可能な仕組みを提案しています。一例をあげると、福島県のクライアントが福島県産材を使って福島県に建設を希望する場合、福島県産材を指定したプレカット工場へ「囲柱金物」と「組立圧入機」を「技術指導者」と共に派遣し、建て方も現地職人で施工する提案です。

劣化対策や維持管理・更新の容易性を確保する措置はありますか?

構造体木材部分には、他社開発の「定温安定ガラス」を塗布しているため、①防水、②防腐、③防カビ、④防蟻の効果があり、建設工事期間中の雨天による養生が不要となります。

素晴らしいのは、⑤水は通さないが空気は通すため、木材は呼吸し続けられることです。更に紫外線をカットすること から、⑤変色防止を謳うことができ採用しています。いつまでも若々しい木材で在ることは、金物工法にとって必要不可欠と考えます。

防耐火面での新たな提案はありますか?

防火地域・準防火地域以外のその他の地域では、「燃えてもいい建築」を許されていることとなりますが、上記「定温安定ガラス」をもって、防耐火性能の認定までは謳うことは出来ないものの、数分間だけの避難するための時間を確保する「担保」は備えました。

今なお進化中ですが、「難燃」の領域に踏み込みました。「含浸」では見られますが、「塗り」で認定を取ったのは、他に無いのではないでしょうか。まさに、先導性のある材料と言えます。

他の施設への普及が見込まれる防耐火の措置の採用はありますか?

必要とあれば、告示にしたがい、プラスターボードで覆うことになります。

海外での実績は?

実物件としての実績はありません。WCTE(世界木材技術者会議)でのポスターセッション発表をしています。2016年はオーストリアにて「囲柱ラーメン木構造」の概要と、それまでの開発試験結果より得られる1方向ラーメンの耐力壁置換法による評価の発表。2018年は韓国にて「囲柱ラーメン木構造」の概要と、「まず1棟!」にむけて取り組む2方向ラーメンの試験結果の発表とその後可能にする建築領域の発表をしました。

いずれも、岐阜県立森林文化アカデミーの小原教授の論文によるものです。素晴らしい体験をさせていただきました。

合法伐採木材の利用を促進するための取組みはありますか?

発注段階で事前に、岐阜県木材協同組合連合会を通じて合法木材を利用することを宣言しました。合法伐採木材を使用することを宣言したプレカット工場へ発注したり、納品書・出荷証明書などで流通ルートを明確にしています。逆に合法ではない木材が流通していると思うと、悲しくなります。

CO2削減や省エネ等、環境に配慮した工夫はありますか?

壁の要らない木造ラーメンの事務所を考える上で、温熱環境を配慮してガラス張りの採光を「北面」に配置しました。南面のガラスは東側のみとし、将来的に外部ルーバーを設ける方針です。ガラス面以外の非耐力壁は、木材での構成とし、しっかりと断熱を施しています。水平構面の上側で母屋を改めて組んでいるので、二重構造となり、板金や折板からの熱貫流は極めて小さく、空調負荷も軽減できています。建設面・廃棄面でも環境重視しており、LCCMをCO2の貯蔵と共に示せます。また、利用した分の木材を山へ苗木として還す取り組みを継続的に取り組み始めています。

木材の活用による社会的課題の解決への貢献はありますか?

木材をどのようにして使うか?によって貢献度は違うように感じています。予測された通り、戸建て着工件数が激減する中、これまでに使用してきた木材(プレカットも)の新しい市場開拓が経済を救うと考えています。小さくなるキャパの奪い合いでなく、新しい市場で伸び伸びと国産材を利活用し、需要拡大をしていく先には、日本本来の姿である一次産業の復活劇があり、産業・環境・人に好循環を生み、本当の意味での強い日本経済を再構築できるチャンスだと考えています。

顧客、営業・販売部門や小売・流通者等から聞かれたコメント等ありますか?

「鉄骨で出来るんだったら鉄骨でやれば済むじゃないか。どうして木造に?」「非住宅木造はまだまだ設計が難しい。確認申請が困難だから。」という質問をされる時がありました。

私は切り返します。「逆に木造で出来るんですし、木造でやっていきましょう。木材の利活用は大いに意味があるんです、思ってる以上に。環境・資源はもちろんのこと、経済を根本から立て直す機会をもらっているんです。」

さらに「何といっても私は、木材が好きです。お嫌いですか?癒される空間を思い浮かべてください。そこには必ず森林浴を思わせるエレメントが存在しますね。利便性だけで評価せず、根本や本質の追求から真の良さの実現に対し努力しませんか。」

「かしこい消費者」から、世界は素晴らしく、美しくなると信じてます。

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