エピソード2|実験が切り拓いた未来

第1棟完成への道 〜木造建築の未来を拓く挑戦〜

「真似はできない。だから、公開する。」

使う側が安心できる構造体でなければ、誰も使わない。実験を「見せる」ことで、すべてを知ってもらう。そして、建築業界に新しい風を吹かせるためにも、公開実験を決意しました。

木材加工技術の力 〜セブン工業株式会社〜

実験に必要な精密な木部の製作を担ってくれたのが、木材プレカットのパイオニアであるセブン工業。高精度な加工技術と柔軟な対応力によって、理想とする構造試験体が形になっていきました。

最初の一歩は、試験体の加工を依頼するところから始まりました。2011年当時は、特殊加工機フンデガーが普及する前の段階。求める加工の多くはNC加工機にはかけられず、ほぼ手加工で対応していただくことに。

それでも、位置出し・垂直度・深さ——寸分の狂いもない仕上がりに、確かな職人技を感じました。

営業担当の方から投げかけられた「この新しい構法は、今後コンスタントに出ていくものなのかどうか。」という問いは、今も記憶に残っています。

「木を”素材”ではなく”構造体”として扱う。」その哲学を共有できたことが、実験成功の第一歩でした。

セブン工業株式会社
創業90年の建材メーカー 木造プレカット事業/木構造部材加工

確かな検証と分析力 〜ポラス暮らし科学研究所〜

さらなる展開を目指し、立体的な構造体での実験へ。2方向ラーメン構造での実験により、信頼性が一段と高まりました。

研究所の責任者としてお話をさせていただいたのが照井さん。時間を要せず、お互いの考え方を理解し合えました。目的のためというより、「理にかなったものを生み出す」——そんな思考回路が重なり合っていたのです。

「ああ、なるほど。こういう使い方があったか。」そんな言葉が、幾度となく交わされました。考え方が重なり合う心地よさを感じながら、そこから4年にわたる大型実験に、じっくりと付き合っていただくことになります。

梁の強度試験や連続ラーメンの検証など、4年間にわたる試験の結果、建築物としての広がりと多層化への展開も、現実的なものとなりました。

ポラス暮らし科学研究所
暮らしを科学・未来を作る 建築構造研究/住宅性能評価・試験

公的支援との出会い 〜林野庁〜

それまで採択されていたのは、組合や連合会、ゼネコンなどの大きな組織。小規模事業者として選ばれたのは、私たちの会社だけでした。

担当の服部さんは、「既存の枠にとらわれないアイデア。建築業界に新しい風が吹くかもしれない。」そう言って、私たちの挑戦を買ってくれた。その言葉に、確かな可能性を感じました。

愛知県出身、名古屋大学のご出身ということもあり、地理的にも話題的にも近く、いつもフランクに接していただきました。「瀧本さん、応援してるよ。」——その一言に、幾度となく背中を押していただいたことか。

北海道へ、そして九州へと赴任先が変わっても、東京の展示会には必ず顔を出してくださり、エールと時には喝を入れてくださる。とてつもなく大きな存在の、兄のような方です。

林野庁
森林・林業・木材産業の推進機関 木材利用技術の開発支援事業

数え切れない試行錯誤の先に、”できる”が証明された

企業とともに挑んだ実験が、囲柱ラーメン木構造の可能性を現実のものにしたのです。

次回:エピソード3は…

実験が切り拓いた未来
実験で証明された構法を、いよいよ現場で”形”にする。

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